研究・採択情報

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ツシマヤマネコの人工授精成功に関する論文が学術誌「Animals」に掲載されました

 よこはま動物園では令和3年3月18日(木)、長崎県対馬に生息する希少野生動物種ツシマヤマネコの人工授精による繁殖に世界で初めて成功しました。
 この成果は、環境省が実施するツシマヤマネコ保護増殖事業に基づき、よこはま動物園、岐阜大学応用生物科学部動物繁殖学研究室、北海道大学獣医学研究院繁殖学教室、アニコム損害保険株式会社・アニコム先進医療株式会社、環境省や本種を飼育する他の動物園等と連携して研究を進めてきたものとなります。本研究成果は、令和4年3月19日、学術誌「Animals」に掲載されました。
 岐阜大学応用生物科学部動物繁殖学研究室は、ツシマヤマネコの雌の体内から糞中へ排泄された性ホルモンを分析して、卵巣内の卵胞の発育や排卵の状況を確認する研究を主に担当しました。人工授精のためのホルモン剤での卵巣コントロールの効果検証や授精適期の評価を目的におこなっています。

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左:腹腔鏡を使用した人工授精の様子、右:人工授精により誕生したツシマヤマネコ(写真提供:よこはま動物園)

発表のポイント

  • ネコ科動物の多くは、その生理学的、解剖学的特徴等から動物園で飼育されている動物の中でも人工繁殖が最も難しい動物と言えます。
  • 今回、よこはま動物園では、ホルモン剤で卵巣の状態を受精に適した状態にコントロールした上で、腹腔鏡を使って精子を卵管内に直接注入する「腹腔鏡下卵管内人工授精」という方法で人工授精に成功しました。
  • 今回の成果は、この手法がツシマヤマネコの人工繁殖に有用である可能性を示すとともに、他の小型ネコ科動物にも応用できる可能性を示したものです。

詳しい研究内容について

よこはま動物園ズーラシア
  ツシマヤマネコの人工授精成功に関する論文が学術誌「Animals」に掲載されました

論文情報

  • 雑誌名:Animals 2022, 12, 777.
  • 論文名:Successful Laparoscopic Oviductal Artificial Insemination in the Endangered Tsushima Leopard Cat (Prionailurus bengalensis euptilurus)
  • 著 者:A, Azumano. M, Ueda. M, Nomura. M, Usui. M, Ichinose. Y, Yanagawa. S, Kusuda. Y, Matsumoto. K,Murata
  • 論文公開URL:https://www.mdpi.com/2076-2615/12/6/777

2022.03.25

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