研究・採択情報

岐阜大学発のGIF化合物が複数の神経変性疾患原因タンパク質の凝集を抑制

 岐阜大学 糖鎖生命コア研究所 鎌足雄司助教、連合獣医学研究科4年生 木村慎太郎さん、神志那弘明准教授、工学部 森田洋子教授、古田享史教授、慶應義塾大学 理工学部 古川良明教授らの研究グループは、岐阜大学発のオキシインドール化合物であるGIF化合物が複数の神経変性疾患注1)タンパク質の凝集を抑制することを報告しました。複数のタンパク質の凝集抑制に効果を発揮する新たな化合物として、ヒトや動物の神経変性疾患の治療への応用が期待されます。
 本研究成果は、2022年2月22日(火)にBiochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects 誌のオンライン版で発表されました。

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GIF化合物によるイヌSOD1タンパク質のアミロイド線維形成阻害(クリックすると拡大します)

発表のポイント

  • 岐阜大学発のオキシインドール化合物であるGIF化合物が、イヌの変性性脊髄症(以下、「DM」)注2)の原因タンパク質であるイヌスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)注3)タンパク質の凝集を抑制しました。
  • ヒトの筋萎縮性側索硬化症(以下、「ALS」)注4)の原因タンパク質であるSOD1タンパク質や、プリオン病注5)の原因タンパク質であるプリオンタンパク質(PrP)を含む複数の神経変性疾患原因タンパク質においても、凝集抑制効果がみられました。
  • GIF化合物は、異常型構造と相互作用し、複数のタンパク質の凝集抑制に効果を発揮するという新たなカテゴリーの凝集抑制化合物として、ヒトや動物の神経変性疾患の治療への応用が期待されます。

詳しい研究内容について

岐阜大学発のGIF化合物が複数の神経変性疾患原因タンパク質の凝集を抑制
  ― イヌやヒトの神経変性疾患治療への応用に期待 ―

論文情報

  • 雑誌名:Biochimica et Biophysica Acta - General Subjects
  • 論文名:Novel oxindole compounds inhibit the aggregation of amyloidogenic proteins associated with neurodegenerative diseases
  • 著 者:Shintaro Kimura, Hiroaki Kamishina, Yoko Hirata, Kyoji Furuta, Yoshiaki Furukawa, Osamu Yamato, Sadatoshi Maeda, Yuji O Kamatari
  • DOI番号:10.1016/j.bbagen.2022.130114
  • 論文公開URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304416522000320

用語解説

  • 注1) 神経変性疾患:
    神経変性疾患とは、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、プリオン病などの神経細胞に異常なタンパク質凝集が蓄積し、神経細胞が変性し、神経系の機能が損なわれる病気である。アルツハイマー病は80歳以上の5人に1人、パーキンソン病は65歳以上の100人に1人が発症するといわれており、超高齢化社会を迎えた我が国において大きな社会問題となっている。疾患の進行を遅らせる、あるいは止めることのできる根本的な治療法の開発が重要な課題となっている。
  • 注2) 変性性脊髄症(DM):
    変性性脊髄症(DM)とは、イヌにおいて脊髄の神経細胞が変性し、麻痺が徐々に進行していく慢性の神経疾患である。麻痺が進行すると、最終的に呼吸不全に陥り、死に至る。SOD1という健常な細胞にも存在するタンパク質が、異常な線維状の凝集体を形成し蓄積している。ヒトのALSに似た病気である。
  • 注3) スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1):
    体内に発生する活性酸素の一種であるスーパーオキサイドを消去するタンパク質。SOD1をコードする SOD1遺伝子に変異が生じると遺伝性ALSを発症することが知られている。正常な SOD1 タンパク質は非常に安定な構造を保持しているが、変異に伴ってアミノ酸が置換されると、タンパク質の安定性が低下し、異常な構造をとりやすくなる。
  • 注4) 筋萎縮性側索硬化症(ALS):
    筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、ヒトにおいて脳や脊髄の運動ニューロンが選択的に変性する神経変性疾患。筋力低下や筋萎縮、嚥下障害、呼吸不全といった症状が現れる。一部のALS患者では、SOD1というタンパク質をコードする遺伝子に変異が見られ、変異型のSOD1タンパク質が運動ニューロンで凝集体を形成し蓄積している。
  • 注5) プリオン病:
    プリオン病とは、ヒトではクロイツフェルト・ヤコブ病、ウシでは狂牛病などとも呼ばれる神経変性疾患の一つ。プリオンタンパク質(PrP)という健常な脳内にも存在するタンパク質が、異常構造に変わり中枢神経系に蓄積する。不可逆的な神経障害を生じ、最終的には死に至る。

2022.03.10

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