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犬血管肉腫のマウス腹腔内播種モデルにおける合成マイクロRNA-214の腫瘍抑制効果

 岐阜大学応用生物科学部 森 崇 教授,上野 義仁 教授,同附属動物病院 吉川 竜太郎 臨床助教らの研究グループは,犬血管肉腫 (HSA) のマウス腹腔内播種モデルにおいて,miR-214/5AE注1)の腹腔内投与が治療効果を持つことを認めました。人でも同様の血管肉腫が発生しますが,希少疾患であることから研究が進んでおらず,今回の結果は人への応用も期待されます。
 本研究成果は,2022年1月6日(木)にVeterinary Research Communications誌のオンライン版で発表されました。

  • 注1) miR-214/5AE:マイクロRNA(miRNA)は20~24塩基対から成る二本鎖RNAであり,生体内で生成されmRNAに作用することでタンパク質の生成を調節します。近年,miRNAの発現異常が細胞のがん化に関与していることが明らかになってきています。その生成の増加ががん化の原因となるmiRNAをoncomiR,生成の低下ががん化の原因となるmiRNAをantagomiRと呼んでいます。miR-214/5AEは,我々が開発した修飾ヌクレオシドを5分子含む化学修飾miRNAです。
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図1 4'-アミノエチル修飾ヌクレオシド(左),図2 miR-214/5AEの構造(右)

発表のポイント

  • 犬の血管肉腫 (HSA) は現在有効な治療法が存在せず、極めて予後が悪い。また、人でも同様の血管肉腫が発生するが、希少疾患であることから研究が進んでおらず、今回の結果は人への応用も期待される。
  • 抗腫瘍効果を示すmicroRNAの生体への投与は、細胞内への導入とヌクレアーゼによる分解が問題となっていた。
  • それらの問題を改善した合成型miR-214であるmiR-214/5AEは、HSAのマウス腹腔内播種モデルにおいて、腫瘍細胞に対してアポトーシスおよび増殖抑制を誘導することを実証した。
  • また、miR-214/5AEの投与により、有害事象が発生しないことも明らかにした。

詳しい研究内容について

犬血管肉腫のマウス腹腔内播種モデルにおける合成マイクロRNA-214の腫瘍抑制効果

論文情報

  • 雑誌名:Veterinary Research Communications
  • 論文名:
    Intraperitoneal administration of synthetic microRNA-214 elicits tumor suppression in an intraperitoneal dissemination mouse model of canine hemangiosarcoma
  • 著 者:Ryutaro Yoshikawa, Atsushi Maeda, Yoshihito Ueno, Hiroki Sakai, Shintaro Kimura, Tomohiro Sawadaishi, Satoru Kohgo, Kohei Yamada, Takashi Mori
  • DOI番号:https://doi.org/10.1007/s11259-021-09869-1
  • 論文公開URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s11259-021-09869-1

2022.01.14

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