研究成果・採択情報

極小振動数を持つ魔法数クラスターが存在 ~ナノ微粒子のエネルギーと振動数の相関を示唆~

 原子の数が数十から数百個の微粒子(少数原子系、クラスターなどとも呼ばれる)には、そのエネルギーが異常に小さく安定なものが存在します。一般に、その微粒子を構成する原子の数を「魔法数」と呼びます。岐阜大学工学部応用物理コースの小野頌太助教は、球面上の荷電粒子系1)を微粒子と見なし、その固有振動数の解析を行うことにより、微粒子のエネルギーだけでなく振動数も極小となるような魔法数が存在することを明らかにしました。本研究成果は、従来の魔法数の定義を拡張することに相当し、ナノ微粒子の構造安定性を研究するナノサイエンスに多大なインパクトを与えることが期待されます。また、球面上の荷電粒子系の安定構造は数理物理学においても多くの研究があり、当該分野にも新たな視点を提供するものと期待されます。
 本研究成果は、日本時間2021年9月18日(土)に米国物理学会発行のPhysical Review B誌のオンライン版で発表されました。

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発表のポイント

  • 微粒子にはエネルギー的に極めて安定なものが存在し、その微粒子の原子数は魔法数と呼ばれます。エネルギー以外の物理量を極値にするような原子数(魔法数)が存在するかについては明らかになっておりません。
  • 球面上の荷電粒子系において、その最大振動数が極小となる魔法数が存在することを明らかにしました。
  • 本研究成果は、ナノ微粒子や球面上電荷の構造安定性を研究するナノサイエンスや数理物理学に大きなインパクトを与えます。
  • 1) 球面上の荷電粒子系
    半径1の球面上に拘束された N 個の粒子集団。粒子同士は、距離の逆数に比例する斥力で反発しあう。N=2 の場合は、球面の北極と南極にそれぞれ粒子が分布する。N=3 の場合は、正三角形状に粒子が分布する。一般の N に対して安定な粒子配置を求める問題は、原子モデルの提案者に因んで「トムソン問題」として知られている。また、数学の18個の未解決問題を集めたスメイルの問題の1つとしても知られている。

詳しい研究内容について

極小振動数を持つ魔法数クラスターが存在
  ナノ微粒子のエネルギーと振動数の相関を示唆

論文情報

  • 雑誌名:Physical Review B誌
  • 論文名:Magic numbers for vibrational frequency of charged particles on a sphere
        (球面上荷電粒子の固有振動数における魔法数)
  • 著 者:Shota Ono
  • DOI番号:10.1103/PhysRevB.104.094105
  • 論文公開URL:https://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevB.104.094105

2021.09.22

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