研究成果・採択情報

世界最小クラスのアミノ糖誘導体から還元反応によって溶けるゼリー状物質を開発

 岐阜大学工学部化学・生命工学科の池田 将 教授(兼任:糖鎖生命コア研究所(iGCORE) 糖鎖分子科学研究センター(iGMOL)、連合創薬医療情報研究科、生命の鎖統合研究センター(G-CHAIN)、Guコンポジットセンター、名古屋大学 未来社会創造機構 ナノライフシステム研究所(NLS))と、岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科 特別協力研究員 東 小百合博士 (現在:Postdoctoral Researcher, University of Münster, Germany) は、アミノ糖注1)に化学反応性の人工分子を導入した新たなアミノ糖誘導体をワンステップで合成しました。このアミノ糖誘導体の性質を調べたところ、超分子ヒドロゲル注2)と呼ばれる水の流動性が低下したゼリー状物質を与えることを発見しました。
 このゼリー状物質は、アミノ糖誘導体が水中で自発的に自己集合して、直径数10 nm (10-9 m) のナノファイバー (髪の毛の直径の大凡10,000分の1)に組み上がることによってできていることを解明しました。さらに、ゼリー状物質が還元反応注3)によって溶けることを見出しました。今回合成したアミノ糖誘導体は、還元刺激に応答するゼリー状物質を形成するゲル化剤分子としては、世界最小クラスの洗練された分子です。
 本研究成果は、アメリカ化学会(ACS)刊行の新たなオープンアクセス(OA)誌JACS Au(ジャックス・ゴールド)に受理され、日本時間 2021年7月22日(木)にweb公開されました。

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発表のポイント

  • 自然界に豊富に存在するアミノ糖(分子モジュール1)に対して、還元反応によって脱離する人工分子(分子モジュール2)を導入したアミノ糖誘導体をワンステップで合成した。
  • 合成したアミノ糖誘導体が水中で自発的に自己集合して、極細繊維(=ナノファイバー)のネットワーク構造に組み上がり、ゼリー状物質(=超分子ヒドロゲル)を与えることを発見した。さらに、得られたゼリー状物質は還元刺激に応答して溶けることを明らかにした。
  • 還元刺激に応答して溶けるゼリー状物質を形成するゲル化剤分子としては世界最小クラスであり、分子レベルでモジュール組み合わせ型に設計された洗練された分子といえる。

用語解説

  • 注1) アミノ糖
    アミノ基を含む糖であり、グルコースやガラクトースの2位の水酸基がアミノ基に置換されたグルコサミンやガラクトサミンなどが自然界に豊富に存在する。例えば、アミノ基がアセチル化されたN-アセチルグルコサミンは、グリコサミノグリカンの主成分となっている。また、アミノ糖のなかには抗細菌活性を有するものもある。
  • 注2) 超分子ヒドロゲル
    ヒドロゲルは水を媒体とするため、その生体適合性の高さから、薬物放出マトリクスや細胞培養マトリクスなど、さまざまな医療応用が期待されている。超分子ヒドロゲルの内部においては、低分子化合物が水中で自発的に集合することによってファイバーネットワークを形成しており、そのことが水の流動性が低下した状態の要因となっている。
  • 注3) 還元反応
    物質が酸素を失う、あるいは水素と結合する反応(もしくは電子を得る反応)のことであり、体内でも低酸素状態などにおいて進行するとされている。

詳しい研究内容について

世界最小クラスのアミノ糖誘導体から還元反応によって溶けるゼリー状物質を開発
 -水中で自発的に集合してナノファイバーネットワーク構造に組み上がるアミノ糖誘導体-

論文情報

  • 雑誌名:JACS Au, 2021, published online
  • 論文名:Development of an Amino Sugar-Based Supramolecular Hydrogelator with Reduction Responsiveness
  • 著 者:Sayuri L. Higashi, Masato Ikeda
  • DOI番号:10.1021/jacsau.1c00270
  • 論文公開URL:https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jacsau.1c00270

2021.07.27

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