応用生物科学部の長岡利教授のグループの研究成果が国際学術雑誌PLOS ONEに8月21日付で掲載されました
ローヤルゼリーのコレステロール代謝改善作用を発揮する物質を特定 -株式会社秋田屋本店(岐阜市)との共同研究成果-
このたび,本学応用生物科学部の長岡利教授のグループの研究成果が国際学術雑誌PLOS ONEに8月21日付で掲載されました。
研究成果のポイント
- JST(科学技術振興機構)研究成果最適展開支援事業の支援を受け,岐阜大学が株式会社秋田屋本店(養蜂・健康食品等製造販売)との共同研究を実施
- その結果,ローヤルゼリーに含まれるタンパク質MRJP1(Major Royal Jelly Protein 1)が,コレステロール代謝改善作用を発揮することを発見
研究成果
このたび,本学応用生物科学部の長岡利教授のグループの研究成果が国際学術雑誌PLOS ONEに8月21日付で掲載されました。
ローヤルゼリーは多様な薬理作用が認められているものの,ミツバチが作り出す様々な栄養素を含む自然界の物質であるため,個々の薬理作用を発揮する物質を特定することは困難でした。本研究成果は,長岡教授の研究グループが蓄積したタンパク質の成分を同定する評価手法により,ローヤルゼリーに含まれる特異タンパク質MRJP1が,食物脂肪を吸収しやすくする胆汁酸と結合し,ミセル溶解性阻害作用(コレステロールのミセル化を防ぎ,小腸でのコレステロール吸収を阻害する)や肝臓でのコレステロール分解促進作用を持つことを見出したものです。
この成果は,大学や公的研究機関等の優れた研究成果の実用化を通じ,イノベーションの効率的・効果的創出を目的としたJST・研究成果最適展開支援事業FSステージ(シーズ顕在化タイプ, 2009年度),本格研究開発ステージ(ハイリスク挑戦タイプ, 2011~2013年度)の支援による,秋田屋本店との共同研究成果の一つです。本研究は,将来,安全な新しい高コレステロール血症予防・改善のための食品や医薬品開発へと繋がる可能性がある研究であることが評価され,支援を受けたものです。
- ローヤルゼリーに含まれる胆汁酸結合能を持つ3種類のタンパク質のアミノ酸配列を初めて同定。
- 試験管内実験(in vitro実験)によるコレステロールミセル溶解性試験でMRJP1がコレステロールミセル溶解性阻害作用を有することを発見。
- MRJP1やMRJP1由来ペプチドがラットやヒト肝臓培養細胞でコレステロールの分解を促進するとともに,MRJP1がラットによる動物実験やヒト腸培養細胞でコレステロール吸収を抑制することを発見。
- ラットによる動物実験(in vivo実験)により,MRJP1は,特定保健用食品許可成分である大豆タンパク質や植物ステロールよりも,効果的に血清コレステロールを低下させることを発見。
試験管から培養細胞,動物実験に至る一連の多様な研究手法を駆使することにより,薬理効果を発揮する物質を特定するとともに,その効能メカニズムを解明する今回の成果へとつながりました。
発表論文
- Identification of A Novel Hypocholesterolemic Protein, Major Royal Jelly Protein 1, Derived from Royal Jelly
- 論文著者:加島優里,兼松 智,浅井さおり,草田未央,渡邊鈴代,川島拓司,中村正,島田昌也,後藤 剛,長岡 利(研究責任者)
[緑字:(株)秋田屋本店,黒字:岐阜大学] - 掲載雑誌:PLOS ONE(10.1371/journal.pone.0105073)
- 論文URL:http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0105073