研究・採択情報

工学部・村井利昭教授らの研究成果が,「Bulletin of the Chemical Society of Japan Volume 87,Number 6,2014」で「Selected Papers in this issue」を受賞しました

酸素原子を,サプリメントなどで話題のセレン原子で置換えた 一連の誘導体を合成することに成功

 このたび,本学工学部・村井利昭教授らの研究成果が,「Bulletin of the Chemical Society of Japan Volume 87,Number 6,2014」で「Selected Papers in this issue」を受賞しました。

受賞研究のポイント

  • 「元素の置換えで,革新的な分子を創る」分野で,カルボン酸に複数の重い原子の組込みに成功
  • 分子の性質を制御する電子のふるまいについて,実験的・理論的に新たな知見を得る

受賞研究の概要

  清涼飲料などの保存料としても利用されている安息香酸塩という化合物があります。この基本骨格は水素・炭素・酸素で組立てられており,自然界で採取することもできます。一方110個を超える原子が一覧になった元素の周期表で,炭素原子・酸素原子は表の右上に位置しています。それらを類似の性質を持った元素で置換えて革新的な分子を誕生させることは,現代合成化学がチャレンジする醍醐味のある課題です。その中で今回は,酸素原子を,サプリメントなどで話題のセレン原子で置換えた一連の誘導体を系統的に合成しました。またその電子状態に関わる性質を,実験的,さらには,和歌山大学の先生方と共同で,理論的にも解明しました。この成果は,単に新しい分子を創るという点にとどまらず,分子の性質を制御する電子構造に関する新しい学術的知見も提供しています。

受賞内容

 平成26年4月8日,公益社団法人日本化学会論文誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」に発表された,本学工学部・村井利昭教授らの研究成果が,「Selected Papers in this issue」を受賞しました。受賞論文は「Aromatic Selenoic, Selenothioic, and Diselenoic Acid Salts: Isolation, Characterization, and 77Se NMR Spectra, Together with Theoretical Elucidation(和訳:芳香族セレノチオ酸,ジセレノ酸塩:単離・同定・77Se NMRスペクトルおよび理論的解明)」です。
 公益社団法人日本化学会:日本化学会の前身である「化学会」が明治11年(1878)に設立,大正10年(1921)に「日本化学会」に改名。会員数は29722名(2014年2月末現在)。日本学術会議協力学術研究団体。 英文論文誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」を大正15年(1926)に創刊。

受賞論文

  • Aromatic Selenoic, Selenothioic, and Diselenoic Acid Salts: Isolation, Characterization, and 77Se NMR Spectra, Together with Theoretical Elucidation(和訳:芳香族セレノチオ酸,ジセレノ酸塩:単離・同定・77Se NMRスペクトルおよび理論的解明)
  • 論文著者:Toshiaki Murai,Daisuke Nishi,Satoko Hayashi,and Waro Nakanishi
  • 掲載雑誌:Bulletin of the Chemical Society of Japan
  • 掲載月: 2014年6月(Web公開日:2014年4月9日)
  • 論文URL:http://www.journal.csj.jp/bcsj-article/bcsj-87-6-677