研究・採択情報

工学部・守富寛教授らの研究成果が,廃棄物資源循環学会有功賞を受賞しました

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維を低コストで自己再生する回収法の開発に成功

 このたび,本学工学部・守富寛教授らの研究成果が,廃棄物資源循環学会有功賞を受賞しました。

受賞研究のポイント

  • 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維を低コストで自己再生する回収法の開発に成功
  • 鉄に変わる軽量かつ強靱な性質をもつ炭素繊維の普及に貢献

受賞内容

 平成26年5月29日,本学工学部・守富寛教授,カーボンファイバーリサイクル工業(株)・板津秀人社長,神吉肇顧問らが炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から長い繊維のまま"炭素繊維"を回収する方法を開発し,その研究成果が「廃棄物資源循環に関する専門分野について,技術等の進展に顕著な功績があり,画期的な業績をあげた者」として,一般社団法人廃棄物資源循環学会有功賞を受賞しました。
 一般社団法人廃棄物資源循環学会:1990年3月に設立された「廃棄物学会」を継承し,2008年12月設立。日本学術会議協力学術研究団体。

受賞研究の概要

 現在,炭素繊維は最新航空機(エアバスの次期大型旅客機(A380)やボーイングの次期旅客機(B787)など)や自動車(BMWi3など)分野で鉄に代わる軽量かつ強靱な材料として使われ始めています。この研究は,将来,多量に出回るCFRP廃材から炭素繊維を傷めずに回収し,安価なリサイクル炭素繊維を提供する技術を提案したことが高く評価されました。炭素繊維は釣竿,ゴルフシャフト,テニスラケット,自転車などの日常品から,航空・宇宙,自動車,建築・土木,環境・エネルギー,医療,産業機械の分野に拡がっていますが,"リサイクルが鍵"であり,いかに使い捨て廃材から高価な炭素繊維をもとの性質を残したまま回収するかが課題でした。この課題に対し,美濃加茂市にあるカーボンファイバーリサイクル工業(株)が,日本及び世界を席巻した「瓦焼技術」を応用して,今回のリサイクル炭素繊維回収技術を開発しました。炭素繊維強化プラスチックに含まれる樹脂分を熱分解して燃料にすることで,炭素繊維を自己再生でき,現在世界で最も余分なエネルギーを使うことなく,なおかつ安く回収できるようになりました。

受賞論文

  • 論文タイトル:省エネ型熱分解法による長繊維リサイクル炭素繊維回収技術
  • 論文著者:板津 秀人,神吉 肇,守富 寛
  • 論文巻号:廃棄物資源循環学会誌第24巻第5号, 371-378頁,2013年