応用生物科学部・髙見澤一裕教授,中村浩平准教授らの研究成果が,廃棄物資源循環学会論文賞を受賞しました
植物系廃棄物からアルコール生産の実用化に期待
このたび, 本学応用生物科学部・髙見澤一裕教授,中村浩平准教授らの研究成果が,廃棄物資源循環学会論文賞を受賞しました。
受賞研究のポイント
- 植物系廃棄物からアルコール生産の実用化に期待
- 植物系廃棄物の糖化に酵素が有用
- ゴルフ場は再生可能エネルギー源となりうる?
受賞内容
平成26年5月29日,本学応用生物科学部・髙見澤一裕教授,中村浩平准教授らの研究成果が,一般社団法人廃棄物資源循環学会論文賞を受賞しました。受賞論文は「Bioethanol production from enzymatically saccharified lawn clippings from a golf course(和訳:ゴルフ場刈芝からの酵素糖化法によるバイオエタノール生産 )」です。
一般社団法人廃棄物資源循環学会:1990年3月に設立された「廃棄物学会」を継承し,2008年12月設立。日本学術会議協力学術研究団体。会員数2726名。
受賞研究の概要
本研究は,植物系廃棄物からのバイオエタノール生産を目指した研究です。現在のバイオエタノールの原料は,トウモロコシや砂糖のような食糧です。食料をエネルギー原料とすることは食料危機や飢餓の解消につながりません。食料との競合を避けなければなりません。そこで,ゴルフ場の整備で発生するコウライシバ,ベントグラスなどの刈り芝からのエタノールの生産を研究しました。刈り芝を酵素アクレモニウムセルラーゼおよびエンドグルカナーゼを用いて,ブドウ糖に分解します。その後,酵母で発酵してエタノールを得ます。これらの場合の最適糖化条件および発酵条件を検討しました。最適条件において,60 %を超える糖化収率を達成し,分解して生じたブドウ糖からのバイオエタノールへの変換率は100 %でした。基礎的な実験結果を積み上げており,これらの結果から,実用化が期待されます。本論文は,低炭素社会の構築において重要なバイオマス系廃棄物を対象に扱い,実用化に不可欠な収集効率を念頭に入れ,廃棄物としてゴルフ場の刈り芝に注目している点にも意義があります。
受賞論文
- 論文タイトル:Bioethanol production from enzymatically saccharified lawn clippings from a golf course(和訳:ゴルフ場刈芝からの酵素糖化法によるバイオエタノール生産)
- 論文著者:高見澤 一裕,石川 恵里,中村 浩平,二村 孝文
- 掲載雑誌:Journal of Material Cycles and Waste Management
- 掲載月: 2013年1月
- 論文URL:http://link.springer.com/article/10.1007/s10163-012-0078-5