日本学術会議中部地区会議学術講演会「性はどうやって決まる?」を開催しました
2024年12月6日(金)、岐阜大学において、日本学術会議中部地区会議との共催で学術講演会「性はどうやって決まる?」を開催しました。日本学術会議は、日本の科学者コミュニティを代表する機関として、社会に向けた提言や国際交流、科学リテラシーの普及活動において重要な役割を果たしています。
開会にあたり、日本学術会議副会長の日比谷潤子先生よりご挨拶をいただきました。日比谷先生は、講演会のテーマである「性」に関する議論の重要性を強調され、本講演会が多くの学びの場となることへの期待を語られました。
冒頭では、日本学術会議中部地区会議代表幹事を務める高田広章氏より、日本学術会議の役割と地域での学術活動の意義についてお話をいただきました。また、中部地区科学者懇談会幹事長の松田正久氏からは、中部地区科学者懇談会の活動報告があり、地域社会と科学者をつなぐ具体的な取り組みが紹介されました。さらに、本学地域科学部の山本公徳教授が第192回日本学術会議総会の傍聴報告を行い、学術界が抱える課題とその解決に向けた取り組みについて共有しました。
続いて、学術講演会の一つ「どうぶつの生物学的な性 -性決定遺伝子SRYについて-」では、本学応用生物科学部共同獣医学科の宮脇慎吾准教授が、動物の性がどのように決定されるかを生物学的な視点から解説しました。宮脇准教授は、哺乳類の性決定において中心的な役割を果たすSRY遺伝子の研究成果や、その進化の過程を具体的なデータを交えながら紹介しました。さらに、最先端の遺伝子編集技術による新たな発見が今後の研究にどのような影響を与えるかについて述べました。
また、他の講演では、甲殻類の雌雄同体のメカニズムや、性同一性障害をめぐる社会的課題、トランスジェンダーの人々によるスポーツ参加など、多岐にわたる視点から「性」をめぐるテーマが取り上げられました。理系・文系を横断する視点からの議論は、学術的な理解を深めるとともに、多様性を尊重する社会の形成に向けた重要な示唆を与えてくれるものとなりました。
岐阜大学は、「学び、究め、貢献する大学」として、質の高い研究とその成果を地域社会や広く社会全体へ還元し続ける使命を担っています。今後も、多様性と学術の進歩を推進し、地域から世界へと貢献できる大学であり続けるよう努めてまいります。