研究成果

ワサビの来た道 葉緑体ゲノム解読でわかった進化の道筋

 岐阜大学応用生物科学部の山根京子准教授,自然科学技術研究科2年の羽賀夏子さんらの研究グループは,静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センターわさび生産技術科,明治大学農学部と共同で,日本のワサビ属植物のルーツを,葉緑体全ゲノム解読から明らかにしました。
 本研究成果は,英国の国際誌「Scientific Reports」(電子版)2019年10月7日付(日本時間午後6時)に掲載されました。

本研究成果のポイント

日本のワサビ属植物は,第四期の氷河期時代に大陸と日本列島が陸続きになった際に大陸から渡ってきた

  • 日本のワサビ属植物2種7系統の葉緑体全ゲノムを世界で初めて解読した
  • 日本固有種であると考えられていたユリワサビの中には、大陸のワサビ属植物に近縁な系統が含まれていた
  • 日本固有と考えられるワサビ属植物系統群は約130万年前に分岐したことがわかった
  • 栽培ワサビのルーツに北方系野生ワサビはおそらくは関与していない
  • 栽培ワサビとなった野生ワサビは日本固有種であり、氷河期時代に日本海側気候に適応した日本海要素植物であることがわかった
  • 葉緑体全ゲノム配列約15万塩基対の比較解析から、日本の主要なワサビ3品種を区別するDNAマーカーの構築に成功した。これらは品種の特定に用いることができ、品種改良や保全活動への応用が期待できる

詳しい研究内容について

ワサビの来た道 葉緑体ゲノム解読でわかった進化の道筋

論文情報

  • 雑誌名:Scientific Reports
  • 論文名:Complete chloroplast genome sequence and phylogenetic analysis of wasabi (Eutrema japonicum) and its relatives
  • 著 者:
     Natsuko Haga, Masaaki Kobayashi, Nana Michiki, Tomoyuki Takano, Fujio Baba, Keiko Kobayashi, Hajime Ohyanagi, Jun Ohgane, Kentaro Yano & Kyoko Yamane
  • DOI:10.1038/s41598-019-49667-z
  • 論文公開URL:www.nature.com/articles/s41598-019-49667-z

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2019.10.09

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