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「3人で力を結集して開発したVR作品が国際大会で大賞を受賞。
この経験を今後の糧にしたい。」

2023年4月12日(水)~16日(日)にフランスで開催されたVR(仮想現実)とAR(拡張現実)の国際大会「Laval Virtual 2023」。大学や民間の研究プロジェクトを対象としたResearch 部門のコンペティションにおいて、岐阜大学大学院自然科学技術研究科1年の3名が開発したVR作品「MEcholocation」が見事大賞を受賞。本作の誕生の経緯や、開発のこだわりについて伺いました。

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VR作品 MEcholocation(メコロケーション)

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コウモリやイルカが超音波の反響を使って、自身の位置を把握する"エコロケーション"に着目して制作された作品。
VRヘッドセットを着用して体験者が舌打ち音を発すると、暗闇の中で音の跳ね返りがボールとして可視化される。反射の大きさや距離を見ることによって、擬似的にエコロケーションを体験することができる。02.png
視覚障がいを持つ人が、舌打ちによるクリック音で、周囲の状況を把握しながら生活している実例を基に開発された。



「M Echolocation」の制作を通して、チームで協力してゲームを作る楽しさを得ました。

きっかけは、講義で制作した作品。教授の後押しでVR大会に出展。

 「MEcholocation」制作のきっかけは「情報工学実験Ⅲ」という3年生後期に開講された木島竜吾准教授の講義です。そこではVRを使って、今までにない新しい作品を創造するという課題が出され、1カ月間アイデアを練りました。音だけを頼りに暗闇か らの脱出を目指す2Dのスマホゲームから着想を得て、それをVRに発展させたら面白いのではないかと思い生まれたのが「MEcholocation」です。
 最後の講義で作品を発表した際、多くの学生や先生から高評価をいただきました。その後、木島准教授の後押しもあり、昨年11月、日本のVR大会「IVRC 2022」に参加することに。大会に向けて作品をブラッシュアップしていく中で、目の不自由を補うために舌打ちの反響音で生活する人がいることを知りました。そこで"見えなくても歩ける、触れられる"体験ができたらと思い、「舌打ち音の可視化によるエコロケーションの疑似体験」というコンセプトに練り上げ、作品を提出しました。結果、入賞を果たし、大会運営の方から「君たちの作品は面白いからぜひLaval Virtualにも出展してみてほしい」と声を掛けていただき、思いきって大会に出展することを決めました。

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制作にはスマートフォンとPC、VRヘッドセットを使用。
エコロケーションをよりリアルに感じてもらうために、コントローラ操作ではなく、自身の足で移動して作品を体験する。

研究の知見を基にブラッシュアップ。切磋琢磨してつかんだ世界一。

 「MEcholocation」を作るにあたり、3人で作業を分担しました。ボールの数や速さ、障害物の数など細かな機能の実装は、VRの研究室に所属しゲーム開発の経験があった小木曽が担当。また、自動運転で使われる光センサー技術を作品に展開するアイデ アは、研究室で画像処理を学んでいる阪井の案を採用し、プレゼン資料や動画制作、チームのファシリテーションは酒井が担当。得意分野が異なることから、それぞれの意見が衝突することもありましたが、そんな時は互いに納得がいくまで話し合いました。制作と研究の両立は大変でしたが、この3人だったからこそ、より良い作品を作り上げられたと思いますし、チームで協力してゲームを作る楽しさを得ることができました。
 「Laval Virtual」では、一般の来場者や他国の出展者に、僕たちの作品を体験していただきました。相手の理解度に合わせて、慣れない英語で分かりやすく伝えることの難しさを感じましたが、直接反応を見ることができ感動しました。結果はResearch 部門で大賞を受賞。まさか賞をいただけるとは夢にも思わず、名前を呼ばれた時は驚きとうれしさでいっぱいでした。
 今回の経験は僕たちにとって人生の糧になる大事な成功体験になりました。自分で限界を決めずにとりあえずやってみるという精神で挑戦し続ければ、世界の大舞台にも立てることを身をもって学びました。今後は各々の分野に進むと思いますが、これから も自分たちが楽しいと思ったことに全力投球していきたいです



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Lavalラヴァル Virtualバーチャル
フランス西部・ラヴァル市で毎年開催されるヨーロッパ最大のVR・ARの大会。世界各国の研究者やアーティスト、業界関係者などによる革新的な作品が集結する。大会のコンテンツの一つであるコンペティション「ReVolution」では、コンピュータグラフィックス、VR、AR、ゲームなど幅広い学術分野から、没入型テクノロジーを使用した約50の前衛的なプロジェクトが発表された。VRやARを「研究」の観点から取り上げたResearch 部門の全15ブースの中から、「MEcholocation」が大賞を受賞した。

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