大学案内

令和4年度岐阜大学入学式 学長告辞

 新入生の皆さん。入学おめでとうございます。
 今日の良き日に、岐阜大学に入学された学部生1352名、大学院596名の皆様に心からお祝い申し上げます。新しく岐阜大学の仲間になった新入生の皆さんに、全学 を代表して心から歓迎の意を表します。
 実は私も本年4月1日に岐阜大学長を拝命したところで、皆さんと同様なフレッシュマンで、いわば同期生です。どうぞよろしくお願いします。
 皆さんは、2年におよぶ新型コロナ感染症の世界的、歴史的な逆境のなか、見事に志しを貫き岐阜大学に入学され、新たな人生の大きな船出に、意気揚々と未来に向かって夢を描いておられることと思います。これまで皆さんを支えてくださった、ご家族、先生そして関係者の皆様にも心からお祝いと敬意を表したいと思います。
 さて本年度もコロナウイルス感染症対応のため、入学式典は大学院、学部を3部に分けて執り行うこととなりました。長良川国際会議場内の参加者も学生・教職員も制限し、ご父兄の皆様や今回オンサイトで出席できない学生諸君はもとより関係の皆様方にも祝典の様子をご覧頂くため、Youtubeにより中継を行い、祝意を皆さんと分かち合いたいと思います。

 本日から皆さんの学び舎となる岐阜大学とはどんな大学なのかを、まず知っていただきたいと思います。

 岐阜大学は教育学部、応用生物科学部、地域科学部、工学部、医学部、そして2021年度新設の社会システム経営学環から成る中規模総合大学です。岐阜大学としての創立は1949年ですが、前身として最も古い岐阜師範学校まで遡るとスタートは1873年、150年近い歴史を有しています。我が国で4番目に古い大学として位置づけられています。さらに応用生物科学部も1923年(大正12年)創設と大変古い歴史を持っています。工学部,医学部はいずれも1940年代(昭和10年代)ですが、岐阜大学医学部附属病院の起源は岐阜県が1875年(明治8年)に公立病院及び附属医学校を司町に設置したことに遡ります。
 このような歴史を伝えるソフト,ハード両方のアーカイブが学内のみでなく市内にも残されていますので,何れ探訪して頂くことも楽しいかと思います。
 これらの歴史を背景に、岐阜大学と名古屋大学は2020年(令和2年)4月から法人を統合し、国立大学法人東海国立大学機構となり3回目の春を迎えます。皆さんは3期生です。
 新たに発足した東海国立大学機構として管理・運営を行う一つの法人のもとに、両大学が連携して教育研究等活動に取りくむことになりました。
 そして、本年4月からは中期目標期間における第4期の6年が始まり、東海国立大学機構の松尾清一機構長と、名古屋大学の杉山直総長と力を合わせて、東海国立大学機構・名古屋大学、岐阜大学の発展に向けて努力しているところです。

 コロナ新時代では,地域と世界は時間的にも空間的にも距離が短縮され,地域での躍進は同時に世界での活躍に通じます。「世界をリードし地域変革を牽引する機構」になる事が重要です。

 両大学の強みのある分野を中心に、世界最高水準の研究を展開し、「知の中核拠点」化を目指していますのでお話しいたします。
 まず1番目に、糖鎖生命コア研究拠点は、世界トップクラスの糖鎖研究「ヒューマングライコームプロジェクト」を策定し、文部科学省の「共同利用・共同研究拠点」:糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点に認定されました。様々な研究者との融合を推進し生命・医科学研究のゲームチェンジを実現します。  
   2つ目は、航空宇宙研究教育拠点です。我が国の航空宇宙産業の約50%が集中する東海地区において、内閣府と岐阜県の支援を受けて世界をリードする航空宇宙産業クラスター形成に向けた研究開発と人材育成が強みです。
 3つ目は健康医療データ統合研究教育拠点です。高齢化が進むなか、病気の原因の探索や治療の開発、さらに病気の予防などの研究や創薬開発など期待されます。
 4つめの農学教育研究拠点も現在進行中です。
 岐阜大学の得意とする、「ひとづくり」、「食づくり」、「ものづくり」、「産業や町づくり」、「新たな医療づくり」を「岐阜・東海のミ・ラ・イ・エ構想」 (Migration, Laboratory, Innovation, Education) として教育・研究・社会貢献を発展させる事ができればと考えます。 岐阜大学が、高齢化社会に向け、若者と高齢者が生き生きと豊かに暮らせる、町作り社会づくりに貢献できればと考えております。
 まだまだたくさんの得意分野がありますが、新入生の皆さんはこれから各分野での学問をしっかりと学んでください。

 さて、これから大学生活を送る皆さんの直接の学びについてお話しします。

 大学の講義は感染リスク管理を徹底したうえで,原則として対面形式にて講義を実施します。また教育効果を最大化するため、e-Learning 形式での教育にも取り組んでいます。対面形式の講義を受講する際は,必ずマスクを着用してください。また,対面形式の授業の受講に際しては,起床後に体温を測定し発熱症状や風邪症状がある 場合は,保健管理センター及び所属学部・学環・研究科等の学務担当係へ連絡のうえ,自宅で安静にしてください。授業を欠席しても履修上の配慮を受けることができます。

 コロナ新時代ではデジタル革命やグローバル化が急速に進展し、名古屋大学・岐阜大学に共通する人材育成の企画立案を行っています。
 アカデミック・セントラルでは「Society 5.0 を担うことができる、国際通用性のある教育による人材の育成」を行い、これまで以上に充実した教育プログラムを整備することで、岐阜大学生の皆さんが、「勇気をもってともに未来を作る」能力を身につけることを期待しています。現在、リベラルアーツ教育や数理データサイエンス教育、デザイン思考教育に力を注いでいます。デザイン思考教育では課題発見能力や課題解決能力を磨くほか、導き出した解決策の有効性や経済性を考える力を養います。

 岐阜大学には大学院生を含めると、例年約7,500名が学び、そのうち約500名が外国人留学生や研究者です。また学術交流協定を締結した大学は欧米からアジア、アフリカ、オセアニアまで19カ国50大学に上ります。さらに学部によっては海外での研修を支援する制度もあります。これからの日本は一層のグローバル化が求められていますが、そのためには双方向の交流が必須です。岐阜大学を足場に、ぜひグローバルな経験を積んで頂きたいと思います。
 また、バラエティに富む学問領域と豊富な教授陣を有しています。自分の選んだ学部、学科のみでなく、一層広い学問体験を得ることが出来ます。特に全学共通教育では学際的な選択もおすすめしますし、東海機構全体としての拡充も大いに活用して下さい。さらに卒業後の進路は就職、大学院進学などに分かれますが、どの方向を選ぶにせよ堅実な支援を提供します。

 皆さんは本日から、大学生です。選挙権を持った成人であり社会人です。大学における勉学は自分の責任において社会人としてなす行動でもあると言うことを自覚してください。すなわち、これまでの受け身的な学習ではなく、自分自身で考え行動し、一生懸命努力することを身につけてください。
 中国の故事から端を発し禅の言葉で、「木鶏鳴子夜(もっけい しやになく)」という言葉があります。木鶏とは木彫りの鳥です。子夜とは真夜中のことです。木に彫った鳥のように、どんなときもじっと構えて、努力し続ける姿を現しています。若い人はとかくゴールが見えないとなかなか進めない部分もありますが、目前にある仕事・学問を黙々とこなし、人知れず努力を続けること、人徳を積むこと、そうすれば思いもよらず新たな展開が待っていると思います。
 岐阜大学の伝統的理念である「学び、究め、貢献する」「人が育つ場所」であるとともに、「若者の夢を実現できる」大学として、教育、研究、社会貢献に皆さんと一緒に邁進できればと考えます。

 新入生の皆さん、清流と緑に囲まれたこの美しい岐阜大学のキャンパスで、のびのびと勉学に励み、体を鍛え、たくさんの友人を作り、人生を語り、「万物の理(ことわり)」の探求を行い、「高い人徳と総合知」を身につけた人として育ってください。そうして、自然環境豊かなキャンパスで大学生活をおおいに満喫して頂きたいと思います。
 私どもも精一杯その支援をさせて頂きます。
 それでは本日から皆さん一人一人にとりまして実り多いキャンパス生活が送れますよう心からお祈りして、学長の告辞とさせていただきます。

2022年(令和4年)4月7日
岐阜大学長 吉田和弘

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