お知らせ

工学部・川崎教授らの研究グループの成果が,米国電気電子学会・米国機械学会で最優秀論文賞を受賞

   【 受賞研究のポイント 】             ・   【 受賞内容
   【 手指上肢リハビリ支援システムとは 】   ・   【 受賞論文

受賞研究のポイント

 脳卒中などにより半身麻痺となった方の,手と上肢のリハビリを行う「手指上肢リハビリ支援システム」を開発し,少なくとも理学療法士による訓練と同等の効果が確認できました。
 今回の受賞では,脳卒中患者の日常生活の質の向上を図るため,患者自身で運動指令が出せるリハビリテーションシステムの革新的なメカトロニクスデザインが評価されました。

受賞内容

 平成25年7月11日,本学工学部・川崎晴久教授,伊藤聡准教授,毛利哲也准教授,医学部・西本裕教授,医学部附属病院・青木隆明臨床講師,小鹿丈夫名誉教授らの研究グループが,手指上肢リハビリ支援システムに関する論文について,米国電気電子学会(IEEE)・米国機械学会(ASME)の学術雑誌「IEEE/ASME TRANSACTIONS ON MECHATRONICS」の最優秀論文賞(Best Paper Award)を受賞しました。
 

  表彰状   受賞楯   

<左:表彰状,右:受賞楯>

手指上肢リハビリ支援システムとは

 脳卒中患者は,発症後早期にリハビリトレーニングを始めるほど,多くの運動機能の回復が望めるといわれています。しかし,理学療法士などの指導のもとで行われる現状の医療現場では時間的・人的資源的な制約があり,患者が十分に訓練を行えないこともあります。そこで,「脳卒中患者が,1人で楽しみながら,継続的に訓練できる環境の提供」をコンセプトとした手指のリハビリ機器を開発しました。

メニュー:ピアノ演奏

<メニュー:ピアノ演奏>


訓練方法は?

 片側麻痺の脳卒中患者が,「健側(正常な方)の運動によって,患側(動かない方)の訓練運動を自分で生成させる」という方法です。訓練が上手く行われていると,左右対称の運動が生み出されます。この方法では,訓練時に,患者がどのような運動を行っているか意識しながら訓練できる点で,訓練効果が高まると考えられます。

手指上肢リハビリ支援システム

<手指上肢リハビリ支援システム>

 効果のある訓練が,患者1人の状況でも自然に行えるように,CGおよび音声ガイドにより,リハビリテーションのメニューを実施します。メニューは,医師のアドバイスにより設計され,果物をつかむ,じゃんけん,コップを持ちその中のものを注ぐ,ピアノを弾くなどがあり,楽しみながらリハビリテーションができるように工夫されています。この間に,運動中の患側の関節可動範囲や関節速度が自動的に計測され,機能回復の様子が定量的に表示されます。

 また,このシステムは,「屈曲・伸展両方向,5指が独立,各関節ごとの運動補助,拇指の対立運動」,「手関節の運動」を同時に運動補助できる点で,他には類を見ない,世界初多自由度手指運動支援装置です。

 平成19年の開発以来,岐阜県内企業と共同で近隣の病院において,実証実験を重ねており,今回の論文では,少なくとも理学療法士による訓練と同等の効果が確認できました。今後は,より機械の信頼性を高めて,病院で実施した際に,機械トラブルのないように,また,まだ試験例が少ないことから,より多くの方に,実証実験し,検証していくことが期待されます。

集合写真

<手前:手指上肢リハビリ支援システム,
 左から,伊藤聡准教授,西本裕教授,毛利哲也准教授,川崎晴久教授>

受賞論文

  • 論文タイトル:
      Development of a Hand-Assist Robot with Multi-Degrees-of-Freedom for Rehabilitation Therapy
        (和訳:手のリハビリテーションセラピーに向けた,多自由度のハンドアシストロボットの研究開発)
  • 論文著者:上木諭(豊田工業高専),川崎晴久(工学部),伊藤聡(工学部),西本裕(医学部),安部基幸(星城大学),青木隆明(医学部附属病院),石槫康彦((株)丸富精工),小鹿丈夫(工学部),毛利哲也(工学部)
  • 論文巻号:「IEEE/ASME TRANSACTIONS ON MECHATRONICS」Volume17,Issue1,February2012,Pages:136-146

【関連ファイル】

2013.08.02

アイコンの詳細説明

  • 内部リンク
  • 独自サイト
  • 外部リンク
  • ファイルリンク