地域貢献

第27回 再生医療最前線2013~日本で再生医療は実現できるか?~

第27回岐阜シンポジウム

中内 啓光 教授
中内 啓光 教授

多数のご参加ありがとうございました。

 基調講演では,東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センターの中内啓光教授が「iPS細胞が可能にする新しい医療」と題して,iPS細胞作製技術により,広がった再生医療の可能性について,また次世代の話として,細胞治療だけでなく,動物の臓器を動物の体内で再生することに成功した研究成果から,異種動物の個体内で,ヒトの臓器を作る可能性が見えてきたことを話されました。最後に,幹細胞研究の進歩と新しい医療について,現状と課題として,「幹細胞研究の進歩は,21世紀の医療を大きく変革する可能性を秘めており,細胞,臓器などの無限のソースとして,その応用範囲は広い。今後,安全性の高い治療を行うには新しい技術を開発し,また医療上のニーズと社会のコンセンサスを考える必要がある」と述べられました。


 このほか,岐阜大学医学系研究科組織・器官形成分野の手塚建一准教授,岐阜薬科大学生体機能解析学大講座分子生物学研究室の福光秀文准教授が,「岐阜大学歯髄細胞コレクション」,「脊髄損傷の細胞移植療法開発への試み」と題して,講演を行いました。



 京都大学の山中伸弥先生がノーベル賞を受賞され,世界的に再生医療への関心が高まっています。マスコミなどで,明日にでも実用化されそうな勢いで報道されている「再生医療」。実は,それほど簡単な話ではありません。たとえば,iPS細胞はそのまま移植すると,テラトーマという腫瘍を作ってしまうというselfishな一面も持っています。そこで,今回の岐阜シンポジウムでは,動物の体内でiPS細胞の運命を完璧にコントロールして,臓器そのものを作るというユニークなアイデアを進めておられる,東京大学の中内啓光先生をお招きしてお話をうかがいます。また,福光秀文先生,手塚建一先生には,岐阜大学で採取された歯髄細胞で,脊髄損傷を治療する研究について,紹介していただく予定です。

  • 【日 時】 平成25年11月2日(土) 10:00~12:30 
  • 【場 所】 岐阜大学講堂 (岐阜市柳戸1-1)
  • 【お問い合わせ】岐阜大学 学術国際部 研究支援課

※入場無料・申込み不要です。


基調講演
『iPS細胞が可能にする新しい医療』

中 内 啓 光 氏(東京大学・医科学研究所幹細胞治療研究センター・教授)

iPS細胞作製技術の確立により"自身の多能性幹細胞"を利用する道が開けました。患者や正常人から樹立したiPS細胞は,これまで考えられなかった新しい医療を可能にするでしょう。我々の最近の研究を紹介しながら,ノーベル賞に輝いたこの素晴らしい技術が切り拓く新しい医療の可能性について概説します。

一般講演

『岐阜大学歯髄細胞コレクション』
手 塚 建 一 氏(岐阜大学・医学系研究科組織・器官形成分野・准教授)

岐阜大学では,医療廃棄物として大量に入手できる若年者の親知らずから細胞を取り出し,約300サンプルの研究用ヒト歯髄細胞コレクションを構築しました。その白血球型を解析したところ,HLAハプロタイプホモという大変めずらしい型の細胞を得る事ができました。この細胞を使えば,あらかじめ大量の細胞を用意しておいて,脊髄損傷などの緊急性を要する場面でも,再生医療がおこなえる可能性があります。今回は,このめずらしい型を持った細胞を使った未来の再生医療についてお話したいと思います。

『脊髄損傷の細胞移植療法開発への試み』
福 光 秀 文 氏(岐阜薬科大学・生体機能解析学大講座分子生物学研究室・准教授)

脊髄は末梢組織と脳の知覚,運動神経情報の伝導路であり傷害されると運動麻痺や知覚障害に陥ることとなります。現在のところ有効な治療法はありませんが,これを克服しようとする試みは世界的に活発化しています。化学療法と細胞療法とに大別されますが,今回は細胞療法の現状について紹介するとともに,岐阜薬科大学・岐阜大学の共同研究グループが推進している研究の一部についてもお話したいと思います。


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