第20回 岐阜から生物多様性を考える
第20回岐阜シンポジウム
基調講演をする湯本貴和教授
盛況のうち終了しました。
多数のご参加ありがとうございました。
岐阜大学応用生物科学部ではこれまで,岐阜県との連携により,「岐阜から生物多様性を考える研究会」を開催してきました。
今回のシンポジウムでは,応用生物科学部等の研究成果とこれまでの研究会のまとめとして,身近な生物多様性について,行政及び市民の皆さまに分かりやすく解説しました。
第20回岐阜シンポジウム
チラシ
- 日 時 :平成22年11月6日(土) 開演10時(受付開始9時30分)
(岐大祭開催中) - 場 所 :岐阜大学 講堂
- 主 催 :岐阜大学応用生物科学部
- 共 催 :岐阜県域農林業教育システム
- 後 援 :岐阜県,岐阜市,岐阜県教育委員会,岐阜市教育委員会
基調講演
『生物多様性はなぜ大切か-熱帯雨林から日々の食卓まで-』
講師 : 湯本 貴和 教授(総合地球環境学研究所)
2010年は,国連が提唱する国際生物多様性年です。10月には名古屋で生物多様性条約締結国会議(COP10)が開催されました。地球環境問題の中で,地球温暖化問題と生物多様性喪失問題については2大テーマです。しかし,地球温暖化にくらべて,生物多様性喪失問題については,市民の関心は極めて低調です。それは問題がトキやコウノトリのような希少生物の保護だと誤解されてきたこと,あるいはわたしたちの日常生活に及ぼす影響がわかりにくいことなどに原因があります。でも,わたしたちの生活は,生物なしでは成り立ちません。私たちが暮らしていくための食べ物だけでなく,空気や水,温度環境などはすべて生物活動の産物なのです。化学燃料でさえも,過去の生物活動の遺産です。身の回りの当たり前のものにこそ,生物多様性の大切さがあります。
一般講演
『森林に関する話題提供』
講師 : 小見山 章 教授(岐阜大学応用生物科学部)
岐阜県は森の国です。森に覆われる山とそこに流れる川が,豊かな自然を形作っています。変化に富む地形を反映して,森林植生は,標高が低い側から,照葉樹林-落葉広葉樹林-亜高山帯林-高山帯植生と姿を変えています。一方,人間の行為は,森林の姿に大きな影響を与えています。スギやヒノキなど人工林は,岐阜県の面積のおよそ40%を占めています。また,「二次林」の面積は50%を超えています。原生林に近い状態の森林の面積は5%以下にすぎません。このように,岐阜県の森林のほとんどは,人間の影響を過去に受けたものです。生物多様性は,人の暮らしとともに変化しています。
『動物に関する話題提供』
講師 : 鈴木 正嗣 教授(岐阜大学応用生物科学部)
生物多様性条約は,1.地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること,2.生物資源を持続可能であるように利用すること,3.遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること,の3点を目的としています。すなわち,この条約は「野生生物を自然資源と位置付け,それを利活用すること」を視野に入れた取り決め・合意でもあるわけです。もちろん,過剰な利活用は生息環境の破壊や種の絶滅などのリスクを高めます。しかし,自然資源としての野生生物が生み出す利益(経済的有用性)を明確化することで,その保全に対する「動機付け」を強化することができるのも事実です。いま私たちは,従来型の「手つかずで残す保護」から「持続的な利活用を目指す保全」へと,大きな発想転換を迫られているのです。
【関連ファイルダウンロード】
- 第20回岐阜シンポジウムチラシ(PDF:1.73MB)
- 第20回岐阜シンポジウムポスター(PDF:865KB)
- 第20回岐阜シンポジウムパンフレット(PDF:3.2MB)
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