地域貢献

第26回 エネルギー問題を考える スマートグリッドによる次世代エネルギーシステム

第26回岐阜シンポジウム


江崎 浩氏

Dr.Dusit Kruangam氏

多数のご参加ありがとうございました。

 基調講演では,東京大学大学院情報理工学系研究科の江崎浩教授が,「スマートグリッドの最前線」と題して,東京大学キャンパス内の電力量の削減の経験をもとに,今後のスマートインフラの実現についてお話しいただき,続いて,タイ太陽光発電企業組合のDr.Dusit Kruangam会長が「急速に進むタイのメガソーラー」と題して,タイにおける太陽光発電の市場の現状について紹介されました。
 最後に,本学工学部の小林智尚教授が,「気象データを用いた太陽光発電量予測技術」と題して,気象データから太陽光発電システムの発電量を推定するシステムの紹介,天気予報を用いたエネルギー活用方法について講演を行いました。
 このほか,「JST 清流の国ぎふエネルギー・環境科学ネットワーク」成果報告会や,主催の未来型太陽光発電システム研究センターの研究成果報告としてパネル発表が行われました。



パネル展示

約200人が聴講されました


 メガソーラーファームの総発電量は,数千~数万世帯程度の電力を賄うことが可能であるが,太陽光が注がれた時にのみ発電可能という弱点がある。この点は,"売電"システムにより回避しているが,太陽光発電による発電量が大きくなると電力会社側に逆流する等の問題が生ずる。この問題を解決し,火力発電等の既存発電施設のエネルギー使用料を最適化するためには"IT技術" を加味したスマート化,スマートグリッドとの併用が重要となる。将来の何時にどれだけの発電量が太陽光発電から得られるかが分かれば,既存システム側も運営方法の最適化も容易となる。本シンポジウムではスマートグリッド,メガソーラーファームの現状と,気象データから太陽電池に到達する日射量を予測する技術を紹介する。

  • 【日 時】 平成25年7月22日(月)
            【第一部】9:50~12:30 【第二部】13:30~17:00
  • 【場 所】 じゅうろくプラザ5F大会議室 (岐阜市橋本町1丁目10番地11
  • 【申込先】岐阜大学 未来型太陽光発電システム研究センター事務室

※入場料は無料です。

【第一部】 9:50~12:30
「JST 清流の国ぎふエネルギー・環境科学ネットワーク」成果報告会

【第二部】 13:30~17:00
 

基調講演
『スマートグリッド最前線』

江 崎   浩 氏(東京大学・大学院情報理工学系研究科・教授)

21世紀のインターネットは,『Internet of Things』であり,「人と人」から「人とモノ,モノとモノ(M2M;Machine to Machine)」が相互接続され,実空間とサイバー空間が融合した効率的で創造性に溢れる社会・産業基盤(=『スマートインフラ』)である。 スマートインフラは,多様性と自律性を維持し,継続的な進化と成長を実現可能な構造にしなければならない。 我々は,社会・産業活動の量と質は低下させること『我慢・忍耐・縮小』ではなく,明るく快適で,創造性に溢れる社会・産業の継続的成長を支援し,かつ危機管理能力を持ったインフラの実現を目指さなければならない。
 本講演では,東京大学でのスマートビル・スマートキャンパスに向けた活動の経験「全学での電力使用量の見える化/見せる化を行い,平成23年夏には,約30%のピーク電力量の削減,約20%の総電力量の削減に成功」を整理しながら,今後のスマートグリッド・スマートインフラのロードマップを議論する。

『急速に進むタイのメガソーラー』
Dr. Dusit Kruangam 氏(Thai Photoviltaic Industries Associations (タイ太陽光発電企業組合)・会長)

近年,タイにおいて再生エネルギーの一つである大規模太陽光発電所「メガソーラーファーム」の設置が急速に進んでいる。2011年9月にはシャープ社製の薄膜Si太陽電池73MWpの大規模発電施設がLopburi県において稼働を開始した。電力買取価格は35円であり,物価を考えると高額な買取り価格となる。タイの電力供給は天然ガスによる火力発電が主であり,一部は輸入に頼っている現状である。
 何故,メガソーラーが急速に進んでいるか?電力買取価格の構造(フィードインタリフ+アッダー)は?投資家の動向は? 等の観点の話題を提供する。また,中部電力(株)がタイで太陽光発電事業を開始する等のホットな話題もあり,タイ近隣諸国へのメガソーラーの拡大も含めて東南アジア全域での展開に関しての内容も本講演に含まれる。

一般講演

『気象データを用いた太陽光発電量予測技術』
小 林  智 尚 氏(岐阜大学・工学部・教授)

太陽光発電は炭素を排出せず発電できる,再生可能エネルギーの代表格である。しかし天気の変化で日射量が変化すると発電量も変化してしまうという大きな欠点がある。岐阜大学では天気予報を計算してその結果から,太陽光発電システムの発電量を予測し,この発電量の変化や変動という欠点を補い,太陽光発電の普及に役立つよう研究している。まず年間の天気予報の結果から,岐阜県・愛知県での太陽光発電システム年間期待発電量を推定するシステムを作成してきた。これを用いれば高価な太陽光発電システムの購入前に期待される発電量を求めることができ,普及に貢献できる。また太陽光発電の翌日・翌々日の発電量を予報する技術を開発している。これにより,電力会社などは変動する太陽光発電の電気を火力発電や水力発電と組み合わせて,安定な電気を供給するために役立てることができる。天気予報を使った太陽光発電に役立つ技術を紹介する。

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